Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

新国立劇場オペラ、モーツァルトの名作『フィガロの結婚』

モーツァルト好きな人って多いですよね。どんなところが魅力なんでしょうか。
明るく軽快な曲調でしょうか。美しい旋律でしょうか。
オペラ『フィガロの結婚』は、全編を彩るユーモアと、軽妙さが持ち味のモーツァルトの人気喜劇です。

モーツァルトはオーストリアの生まれですが、これはイタリア語。
18世紀後半のウィーンでは、貴族の公用語がイタリア語でイタリアオペラが主流だったためです。
とはいっても、新国立劇場では日本語字幕がつきますので、私のような人でも安心です。

不朽の名作と言われる『フィガロの結婚』は、伯爵の召使であるフィガロと、その恋人で伯爵夫人の小間使いスザンナ、

伯爵と伯爵夫人、小姓に女中頭とたくさんの人が登場して、物語が二転三転、複雑に絡み合っています。
伯爵はスザンナを狙い、女中頭は借金をたてにフィガロとの結婚をもくろみ、小姓は伯爵夫人に憧れ、と一度見ただけでは理解しきれないほど。
そして最後はハッピーエンドのドタバタもの。

といっても、体制批判、渦巻く肉体的欲望といったドロドロが内包されているのです。
それをこれだけ軽やかに仕上げられるのは、やはりモーツァルトが天才だからにほかなりません。

さらにこの作品では、序曲から始まって、小姓ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」、フィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」、伯爵夫人の「愛の神様」など、聴けば「あぁ、あの曲」と思える有名な曲に出会うことができるでしょう。

演出はアンドレアス・ホモキ。日本で唯一のオペラ専用劇場、新国立劇場で2003年から繰り返し公演され、今回6回目という人気のプロダクションです。
舞台や衣装などは同じものを使い、出演者や指揮者が変わります。
また何年か後に、同じプロダクションを楽しむことができるかもしれません。

 モノトーンで幾何学的な舞台は、関係性が崩れると形がどんどん変化していく不安定なもの。斜めにかしいだ床に、私はドキドキハラハラ。
足を踏み外したらどうしよう、おっこちないかしらと終始気になります。

今回、スザンナ役の中村恵理さんは新国立劇場研修所の出身で、ロイヤルオペラ、バイエルン州立歌劇場などヨーロッパで活躍中で、10年ぶりの出身舞台に、その思いもひとしおだったようです。

女中頭役の竹本節子さんは、このところよい味を出していて登場すると嬉しくなります。
伯爵役のピエトロ・スパニョーリさんは、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場で、伯爵夫人のアガ・ミコライさんはモーツァルトで特に評価が高い歌手。
フィガロ役のアダム・パルカさんは、シュトゥットガルト州立歌劇場専属歌手として名をはせています。

 
新国立劇場のオペラは、主役級の数名は海外から旬の歌手を招聘し、あとは日本人歌手がキャスティングされています。
新国立劇場のオペラ公演に出演する新国立劇場合唱団も素晴らしいので、注目してほしいところです。

やはり、生は素晴らしい。
私はまだ恥ずかしくて無理ですが(お寿司屋さんでもほしいネタが言えません(笑))、劇場では思いっきり「ブラボ~」と声をかけてください。

モーツァルト好きは「魔笛」や「ドンジョ・ヴァンニ」も、楽しいですよね!

 

 

*写真はすべて 撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場 
*写真の無断転載を禁じます。

*2017年5月1日現在の情報です。

オペラ『フィガロの結婚』
新国立劇場
渋谷区本町1-1-1
京王新線 初台駅直結
2017年4月20日(木)18時半、23日(日)14時、26日(水)14時、29日(土・祝)14時 (すでに終了しています)
HP:http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/9_007961.html
チケット料金:S21600円、A16200円、B10800円、C6480円、D3240円、Z1620円
65歳以上対象、学生、ジュニア、団体、障害者、友の会割引など詳細はHPでご確認ください。

 次は、特別公演「ジークフリート」ハイライトコンサート
そして新制作のリヒャルト・ワーグナー「ジークフリート」が2017年6月1日から始まります。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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