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「教えて、ブルーアイランド先生! 新国立劇場で学ぶオペラの歴史」4回目は「カルメン」

2025年1月26日(日)青島広志先生のレクチャーイベント第4回目が開催されました。バロックから近現代までを6つのブロックに分け、対象になる時代の作曲家や作品についての楽しい解説があるほか、ゲスト歌手の歌も聴けるという充実したもの。教養溢れ、笑いあり、音楽ありの豊かな休日が過ごせます。

今回のテーマはロマン派ビゼー「カルメン」です。みんな大好き「カルメン」ですから、参加者も最初から期待感でいっぱいです。

ビゼーは、1838年-75年の人。母親はピアニストで父親は歌手ではありませんが歌を歌っていました。ビゼーは、最初はピアニストとして活動し、パリオペラ座で稽古ピアノを弾いていましたが、作曲もしようと何曲か作り、できたのが「カルメン」。しかし最初は題材がロマ(ジプシー)だったため受け入れてもらえませんでした。青島先生は「主役はカルメンではなくホセなんですよ」と語ります。

カルメンはジプシーですが、今、ジプシーという言い方はせずロマと呼びます。ロマは定住せず馬車の中で暮らし、男は鍛冶屋や農家の手伝いなど力仕事を、女は歌やフラメンコ、占いなどで生計を立てています。カスタネットやタンバリン、トライアングルなど打楽器を使って歌い踊り、金のアクセサリーをたくさんつけています。

さて、「カルメン」を務めるのはメゾソプラノ。ヒロインはたいていソプラノが演じますが、カルメンに限ってはメゾソプラノが歌います。そういえば、私のお気に入りのカルメン役はエリーナ・ガランチャで、彼女もメゾソプラノです。今回歌ってくれたのは、磯地美樹さん。カルメンと言えば、真っ赤なドレスが似合う魔性の女。磯地さんはカルメンになりきり、目の前に現れる男たちを挑発していきます。

それにしてもどの曲も素晴らしい。カスタネットを鳴らしながら、歌い踊る場面は特に妖艶です。カルメンのような女性を、ファムファタール、男を惑わす女と言うそうですが、ホセ役の澤田浩一さんは「一度そんな恋がしてみたい」と会場を沸かせました。

青島先生は、「カルメンに登場する名曲はビゼーが書いていますが、残りは友人のギローが書いている」と教えてくれました。最初はオペラコミックというジャンルに入っていた「カルメン」が、「グランドオペラ」として書き変えられ、大好評となったのです。

レクチャーイベントでは、「ハバネラ」に始まり誰もが知る曲が何曲も続き、闘牛士エスカミーリョの「闘牛士の歌」もありました。解説を聴きながら聴く歌も楽しいものです。もちろんいつも通り譜面が配られ、参加者が歌える部分もありますので大満足でした。

次回は3月2日の「ラ・ボエーム」。そして、最後3月23日が青島先生の「黄金の国」です。まだ、残席があるかもしれませんので、ぜひ問い合わせてみてください。ご一緒に優雅な休日を楽しみましょ。入場料は1000円です。

新国立劇場 「教えて、ブルーアイランド先生! 新国立劇場で学ぶオペラの歴史」HPはコチラ 

*2025年1月28日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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