Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

東京フィル「午後のコンサート」コバケンの名曲アラカルト

9月の東京フィル「午後のコンサート」は、コバケンの名曲アラカルト。9月4日に東京オペラシティ コンサートホールに伺いました。

まず、疾風怒濤のグリンカの歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲からはじまり、続いて初々しい荒井里桜さんのヴァイオリンソロで、世界一難しいと言われるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。大学在学中から、数々の賞を受賞している若手の注目株です。ボルドー色のドレスが初秋にぴったり。日本を代表する名指揮者小林研一郎マエストロから「これからも、ひたむきに、一心不乱になさってください」と、エールが贈られました。

提供:東京フィルハーモニー交響楽団

質問コーナーでは、「どうしていつもそんなにコバケンさんは丁重なんですか」と問われ、「丁寧にしていないと、作曲家の行間の宇宙がどこかにいってしまうんではないかと思うんです。指揮者はけっして偉いものではなく、オーケストラの皆さんを尊敬し、敬っています。そうして聞いてくださる皆様の心のひだに特殊なものをお届けすることができる。ですから、すべてを、すごく丁重にしています」と語りました。コバケンさんの生き方が垣間見えた気がしました。

さらに、「最期に振る曲は」という質問に「私が生まれたのは第二次世界大戦中でした。空襲警報が鳴っていたとき、ぼろぼろになったラジオから第九が聴こえてきました。音楽に救われたんですね。そこで母に、五線譜をつくってほしいと頼みました。そのときに作曲家になると決めたんです。ですから、ベートーヴェン第一から始めて、順番に演奏して、最後の第九でバタリというのがいいですね(笑)」と、語りました。

提供:東京フィルハーモニー交響楽団

改めて、世の中が荒廃している時こそ芸術は必要なんだ、生きる力を与えてくれるのだと感じます。

後半はドヴォルザークのスラブ舞曲第10番と、スメタナの連作交響詩「わが祖国」より「シャールカ」「モルダウ」。「モルダウ」を聴くと、子供の頃、音楽の授業で習った歌詞が自然と蘇ってきます。記憶ってすごいですね。いまも、教科書にのっているといいのですが。

そしてアンコールは、「いまも、信じられないような厳しい状況が世界を覆っています。静かに聴いてください。亡くなられたすべての方へ」と『ダニーボーイ』が演奏されました。最初のフレーズから涙があふれ出し、演奏が終わっても、私の周りの方たち立ち上がることができませんでした。音楽は人の心を揺さぶります。

どんなときでも、音楽を絶やしてはなりません。

*2022年9月6日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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