Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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東京フィルの午後のコンサート「コバケン、200歳を祝う」

コバケンという愛称で知られるマエストロ、小林研一郎さんの登場する東京フィル午後のコンサート(2025年6月8日、9日)。ヨハン・シュトラウス2世の生誕200年を祝して、ワルツ「春の声」、ヨハン・シュトラウス2世&弟のヨーゼフ・シュトラウス:ピツィカ―ト・ポルカ、シュトラウス2世のワルツ「美しく青きドナウ」の3曲を聴かせてくれました。

案内役は、東京藝大の客員教授も務める朝岡聡さんで、事前に集めた観客からの質問などに答えながら、軽妙なコバケンさんとのやり取りで楽しませます。

ヨハン・シュトラウスはニューイヤーコンサートでもお馴染みで、日本人には親しまれている曲ばかり。

まずは「春の声」。ワルツは3拍子ですが、それぞれのマエストロによって拍子のとり方が違います。すべてが正三角形を描くわけではありません。そして、その絶妙なずれがマエストロの独自のリズムとなります。

朝岡さんは「曲に命を吹き込むのがマエストロ」と語ります。コバケンマエストロは、心でオケの面々に情感を伝え、会場を包み込みます。

次の「ピツィカ―ト・ポルカ」は、弦を指でつま弾く曲です。観客のワクワク感とともに、演奏者のワクワク感も伝えてくれようと、演奏者が途中で立ち上がったりして会場をわかせます。中間部で鉄琴が加わるところがありますが、そこではうちわであおぐなど、それぞれが思いっきり楽しんで曲を盛り上げます。

そして「美しく青きドナウ」。ウィンナワルツで一番有名な曲でしょう。ウィーン・フィルのメンバーですら難しいというこの曲、微妙なリズムのずれを繊細に表現します。

マエストロのシュトラウスの思い出は、1974年に第1回ブタペスト国際指揮者コンクールの時にハンガリーの宿に着いた日まで一気にさかのぼります。マエストロが初めて見たドナウ川は、とうとうと流れ、朝もやの中に光がスーッと差しこんで、それがどれほど美しかったか。豊かな水がよどみなく流れるさまが目に浮かぶようです。

19世紀のウィーンでは、階級を問わずワルツを楽しんでいました。そして現在もその文化は継承され、15、6歳になると学校で習い、ほとんどの人がワルツを踊れるそうです。その国に根付く文化というのは、本当に素敵です。

よく知っている曲を、解説や想いを聴きながら演奏してもらうのは、観客も楽しくてたまりません。

そして後半は、こちらもみんな大好きベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。自然の中で過ごす喜びが曲全体から立ち上がってきます。コバケンさんが「祈るような気持ちで演奏して」というと、その言葉通りに演奏ががらりと変わります。マエストロの想いを表現できるオーケストラの面々はさすがとしかいいようがありませんね。

 

「東京フィル午後のコンサート」2025年6月8日、9日「コバケン、200歳を祝う」 写真はすべて東京フィルハーモニー交響楽団からご提供いただきました。

*2025年6月19日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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