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世界のプリマ 吉田都芸術監督就任第一作目『白鳥の湖』が満を持してお目見え

長年、世界のプリマとして活躍してきた吉田都が現役を引退したのは、2019年夏のこと。その秋、新国立劇場舞踊芸術監督に就任するもコロナ禍に見舞われた。芸術監督就任第一作目として披露するはずだった、サー・ピーター・ライト版の「白鳥の湖」が1年越しの2021―2022シーズンの幕開けを飾る。

古典バレエの名作「白鳥の湖」に英国らしい演劇的要素をふんだんに盛り込んだ舞台はシェイクスピア劇を彷彿とさせる。指揮は、ポール・マーフィー。バーミンガム・ロイヤルバレエとそのオーケストラであるロイヤル・バレエ・シンフォニアの首席指揮者。緩急のあるドラマティックな音楽が舞台を包み込む。

撮影:鹿摩隆司

王子ジークフリード(福岡雄大)は、父の死後、戴冠し結婚することが求められていた。反発する彼は、21歳の誕生日に白鳥が美しい女性オデット(米沢唯)に変身する姿を湖で目撃する。

撮影:鹿摩隆司

オデットは、ロートバル卿によって白鳥に姿を変えられ、夜の間だけ人間に戻れるのだ。彼女にかけられた魔法は、まだ恋をしたことのないものが彼女に永遠の愛を誓い、結婚の約束をすることで解くことができる。ジークフリードはオデットに愛を誓うのだが・・・。

全体を通してフィリップ・プロウズの美術と衣裳が秀逸。エレガントなゴシック調の衣装は重厚感と華やかさを併せ持つ。今回、イギリスの衣装とほぼ同じものが新調された。

さらに、誰もが知っている名曲のフレーズがでてくる第2幕の月明かりの湖畔の場面で、お馴染みのコール・ド・バレエを堪能できる。新国立劇場バレエ団、相変わらずの一糸乱れぬ見事さだ。

撮影:鹿摩隆司

オデット役の米沢唯は安定感のある踊りで観客を魅了する。人間から白鳥に戻るところなど、さながら鳥に乗りうつられたかのようだ。

 

第3幕の舞踏会の場面は華やかである。結婚相手として招かれている3人の王女は、それぞれ地域色豊かな衣装で民族舞踊を披露する。そこに現れるのがロットバルト郷と娘のオディール。オデットそっくりの黒鳥の姿で踊る米沢の勝ち誇った笑みが印象的。オディールに心奪われた王子は、オデットとの誓いを破ってしまう。

撮影:鹿摩隆司

第4幕の湖で、物語は大きく動く。オデットは人間の姿のあいだに湖に身を投げ、ジークフリードはオデットを追って湖に。愛が死を凌駕し、ふたりは永遠に結ばれる。

4パターンの(米沢唯と福岡雄大、小野絢子と奥村康祐、柴山紗帆と井澤駿、木村優里と渡邊峻郁)オデットとジークフリードが見られるので、それぞれ楽しんでほしい。

なお、初日公演は10月20日に亡くなられた新国立劇場バレエ研修所所長、元舞踊芸術監督の牧阿佐美氏への追悼公演として上演された。

HP:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/

 

*2021年10月24日現在の情報です*写真・記事の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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