Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

METライブビューイング オペラ ヴェルディ『ナブッコ』

ヴェルディのオペラ『ナブッコ』は旧約聖書を題材にしています。ユダヤ王国を征服したネプガドネザル2世(オペラではナブッコ)が約5万人をバビロンに強制移住させた「バビロンの捕囚」がもとになっています。初演当時観客から熱狂的に迎えられた『ナブッコ』は、ヴェルディの出世作となり、この後「リゴレット」「椿姫」「アイーダ」などの傑作を次々と生みだしました。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

舞台は紀元前6世紀のエルサレム。バビロニア王ナブッコ(ジョージ・ギャグニッサ)に率いられた軍がいつ襲ってくるか、ヘブライ人はエルサレムの神殿でおびえています。大祭司ザッカリーアは、ナブッコの娘フェネーナ(マリア・バラコーワ)を人質にしていますが、エルサレム王の甥イズマエーレ(ソクジョン・ベク)は、彼女とは恋仲。いざという時に、フェネーナを助けてしまいます。ナブッコは神殿を焼き払ってしまいました。

バビロンの王宮では、ナブッコの長女アビガイッレ(リュドミナ・モナステイルスカ)が次女のフェネーナを陥れようとしています。長女だとはいえ自分の母は奴隷だったため、王位はフェネーナに譲られようとしているのが許せず王位は自分のものだと主張します。

一方でフェネーナは、イズマーレへの愛からユダヤ教に改宗してしまいました。ナブッコは、すべてを支配した自分は神だと傲慢にも言い放つと天罰が下り雷に打たれてしまいます。

長女に王位を奪われたナブッコは正気を取り戻したあと改心し、ユダヤ人たちに祖国に帰るように言い渡します。野望を打ち砕かれたアビガイッレは、自決します。

 

圧巻は、ドラマチックソプラノ、アビガイッレ役のリュドミラ・モナスティルスカ。圧倒的な歌唱力のウクライナ人ソプラノです。難役ですが、オクターブの音の動きをものともせず縦横無尽に歌いこなします。第2幕のアリアはもとより、最終幕の服毒した後のアリアは涙を誘います。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

バリトンのナブッコの歌はレガートの旋律が美しい。また、合唱が全体の3分の2を占め、大きな役割を果たします。合唱好きな私としては大満足。

そして第3幕、誰もが聞きたいイタリア第2の国歌「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」は、人々にとって特別な歌です。劇場が一体化し一人ひとりの心が望郷の念に包まれます。そして最後の第4幕の傑作アリアの数々も素晴らしい。ナブッコが改心した歌は、心揺さぶられるでしょう。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

2016-17シーズンのMETライブビューイングで、プラシド・ドミンゴがナブッコ役を演じたのが印象深かったですが、グランドオペラはスケールが大きく、いかにもオペラらしい醍醐味が味わえます。いわゆる「オペラ」を味わいたい方はぜひどうぞ。

METライブビューイング 『ナブッコ』 2024年2月23日から2月29日(木)(東劇のみ3月7日(木)まで2週上映)HPはコチラ:https://www.shochiku.co.jp/met/program/5474/

*2024年2月28日現在の情報です *記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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