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「インド更紗 世界をめぐる物語 カルン・タカール・コレクション」2025年9月13日(土)~11月9日(日)

更紗天然素材である茜や藍を使って、木綿布に手描きや木版で模様を施して染め上げたインドで生まれた染色工芸品です。インドの交易品として1世紀には東南アジアやアフリカへ、17世紀には世界中に輸出されるようになりました。輸出先の要望に応じたデザインにすることで文様は多様化するものの、インドの美意識がこめられています。インド更紗は、衣服だけではなく宗教儀式や室内装飾などさまざまなところに使われています。

《白地蓮華象文様更紗天蓋布》18世紀、南東インド海岸部、スリランカで発見と伝わる、手描き

いま、東京ステーションギャラリーで、世界屈指のコレクター、カルン・タカール氏のインド更紗のコレクションが日本で初めて紹介されています。カルン・タカール氏がヨーロッパ、インドネシア、スリランカ、タイで集めてきた14世紀から19世紀にかけての染織コレクションです。この展示では、インド更紗の魅力を改めて知り、世界に及ぼした影響をたどります。

カルン・タカール氏は、インドでお母さまが経営していた仕立て屋を手伝い、様々な布を見て育ちました。家族で英国に移住したのちも、その興味は尽きることがなく、1982年からアジアとアフリカの民芸品や染織品を集め始めます。2021年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館と協働でアジアとアフリカのテキスタイルと服飾の研究を助成する基金を設立しました。

また、幼いころから日本への関心が高く、30年前から日本の染織品を集め始め、とりこになりました。インド更紗は、日本でも愛され茶道具のお仕覆、風呂敷や煙草入れ、掛け軸の表装や畳縁にも使われるなど、日本の生活にも深く入り込んでいます。

《白地人物草花文様更紗儀礼用布》17-18世紀南東インド、スリランカで発見と伝わる

最初、インド更紗は地元の人のためにつくられていました。こちらは儀礼用の布です。こうしたものは神々が描かれているものが大半ですが、これは珍しくシヴァ神への供花のために花を摘む人が手描きされています。

《白地人物城郭文様更紗製》18世紀、南東インド海岸部、スリランカで発見と伝わる

大きな物語の掛布の一部です。籠の下にはサソリが隠され、両脇の人は太鼓をたたき、下の段は、貴族が王座に座っています。なんともユーモアがあり、楽し気で、おおらかです。

東南アジア向けの染織品の代表的なものも並んでいます。

《ラーフ神文様更紗上衣》18世紀後半南東インド海岸部、タイ市場向け

タイ王室が発注した布地から仕立てられています。こんなに美しい上衣ですが、兵士が着用していました。描かれているのは守護神です。

ヨーロッパ人の好みに合わせた更紗の花文様は、当初は室内装飾用の掛布などとして、その後は衣装としてもてはやされました。

《白地草花文様更紗子供用掛布》18世紀、南東インド海岸部 キルティング、ヨーロッパ製絹地による縁どり

18世紀ごろ、自国の産業を守るため禁止令が出るほどの人気になったインド更紗。自然の花に近い文様が描かれたキルティングです。

《草花文様更紗女子用帽子》18世紀 南東インド海岸部、仕立てオランダ、あるいはオランダ植民地

この可愛らしい帽子たち。貴重なインド更紗をすべて使い切るために小さい端切れを繋ぎ合わせて作られたりしています。

《白地立木形花樹文様更紗キルティング》掛布1740年-1750年頃南東インド海岸部、スリランカで発見と伝わる

左側に立つのがタカール氏。後ろにあるのは、ベッドカバーです。ヨーロッパ人の好みに合わせ白地に立木が描かれています。タカール氏の衣装も素敵!

ヨーロッパでは、更紗を自国に取り込むため自国生産に切り替えていきます。ウィリアム・モリスはその典型です。

世界を魅了したインドの木綿布に、天然成分の化学反応で色を操り、手間暇かけて描かれたたくさんの美しい布に囲まれる瞬間が今、味わえます。会期終了まであとわずか。

「インド更紗 世界をめぐる物語 カルン・タカール・コレクション」2025年9月13日(土)~11月9日(日)東京ステーションギャラリー HPはコチラ

*2025年10月25日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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