Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

国立劇場2月文楽公演『国姓爺合戦』(2月4日~21日まで)

近松名作集の第二部(15時15分~18時4分予定)は「国姓爺合戦」。

中国が舞台になっているため、衣装などがきらびやかで異国情緒にあふれています。重さが10キロある虎の着ぐるみが登場しますが、大きいけれど、なんだか愛嬌があり客席を沸かせていました。

見どころの「千里が竹虎狩りの段」からスタート。てすりがないため足元まで見え、さらに虎が、客席のほうに乗り出したり、太夫のそばに寄っていったり、楽しい仕掛け満載です。

提供:国立劇場 撮影:田口真佐美

父親が中国人で母親が日本人の、明王朝復興に力を尽くした実在の人物である鄭成功。鄭成功は、長崎で生まれ、7歳で清に侵略されていた明へと渡り抵抗運動で功績を残しました。さらに、台湾を占領していたオランダをしりぞけ、政権を打ち立てるなど、英雄として知られています。

物語は・・・

その彼の活躍をモチーフにした物語。明が韃靼国に侵略されてしまっているという状況。明のかつての役人で、日本に亡命中の老一官は、日本人妻と息子(和藤内=モデルが鄭成功)を連れて、明再興のために大陸を渡ります。

中国に残してきた先妻の娘、錦祥女が名将、甘輝将軍の妻になっているため、甘輝将軍に味方になってもらおうと訪ねることにします。その旅すがら出会うのが虎。

城に到着すると、警戒が厳しく門を開けてもらえません。そこに錦祥女が現れ、訪ねてきたのが2歳の時に別れた父と知り、ずっと思い続けていたと切々と語ります。

提供:国立劇場 撮影:田中真佐美

 

甘輝の立場を考え、城内には縄で縛った継母一人のみ入ることになります。夫が味方になる場合は白粉を、ならない場合は紅粉を流すと合図を決めました。継母が甘輝に計画を話すと、甘輝は妻の錦祥女に刃を向けます。妻にほだされて韃靼王を裏切る程度の武将だと思われたくないというのが理由です。そこに割って入る継母・・・。

初演の時は、大人気で17カ月のロングランでした。鎖国していた日本が、どれほど外国に憧れていたか。観客たちは華やかな舞台に心躍らせたことでしょう。「楼門の段」「甘輝館の段」「紅流しより獅子が城の段」と続きますが、最後の竹本織太夫の語りには泣かされました。

第三部は「女殺油地獄」(18時30分~20時57分)次回もお楽しみに!

*2023年2月6日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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